Formation and Evolution of Galaxies
銀河の形成進化研究
銀河がどのように生まれ成長してきたかを明らかにすることは 天文学研究の一大テーマであり、最新望遠鏡を用いた観測研究など 様々な側面から活発な研究活動が進められています。
光速が有限であることから、遠くにいる銀河を見ることにより 昔の銀河の姿を知ることができます。しかし、遠くなればなるほど見かけの大きさが 小さくなるため、遠くの銀河は「点」として観測されることになってしまい、 銀河全体の性質を知ることができても、内部構造などその詳細を知ることは なかなか難しくなってしまいます。
近傍銀河を観測する理由
一方、近くにいる銀河は、その銀河を構成する個々の星々や 星形成領域などを分解して観測することができ、それらが銀河内で どのように分布しているかという内部構造まで知ることができます。 また、観測されている星々は今までに銀河の中で生まれてきた 星々の生き残りであるため、それらを調べることにより 銀河が過去にどのように星を生み出してきたか (つまり銀河がどのように成長してきたか)を知ることができます。 このような、今残されている星々の情報から銀河の生い立ちを探る 研究手法を銀河考古学と呼んでいます。
星の進化
長年の研究によって、星がどのように進化するのかは理論的に よく分かっています。その進化理論を観測を比較するときに使われるのが ヘルツシュプルング・ラッセル図 (HR図) と呼ばれるものです。
生まれた星はHR図上の主系列という部分に分布し、 その一生の大部分をこの主系列で安定して過ごしますが、 老年期には進化が進みHR図上での位置を変えていきます。 また、星が持っている重元素の量によってもHR図上での位置は変わります。 星が生まれてからの年齢に応じたHR図は理論的に作ることができるので、 それらを観測から得られるHR図と比較することによって、 観測される星たちの素性(年齢や重元素量など)が分かってくるのです。
近傍銀河への適用
上で述べたHR図を使った手法を近傍銀河全体の星に適用し、 銀河全体の進化を解明したり、ある進化段階の星を選び出すことによって 銀河の形状(広がり)を調べたり、銀河内の新たな構造や小さな銀河を 見つけ出す、など様々な研究を私たちの研究室では行っています。 一つ一つの研究は銀河進化研究のある側面だけを切り取ったものになりますが、 こういった研究を積み重ねて全体として銀河進化の解明に迫っていきます。 今まで行われてきた、研究の代表例を以下にあげておきます。
また、近い将来には、すばる望遠鏡に新設される 超広視野多天体分光器 PFS を使った研究が開始され、速度や元素組成の情報を取り入れた 新しいスタイルの研究が始まります。
実際の研究
この分野の研究では、すばる望遠鏡などで撮られたデータを処理し、 星々の性質を調べたり、統計的手法を使って銀河の本質に迫っていきます。 そのため、コンピューターを使った解析やプログラミングを中心にして 研究を進めることになります。