Featured Topic: First Light of CMOS Camera
国立天文台で開発を進めてきた天文観測用大型CMOSセンサーを 6個並べた広視野観測カメラを設計・製作し、 アリゾナ大学スチュワード天文台のBok望遠鏡(口径2.3m)に取り付け 観測を開始しました。このカメラは、毎秒10フレームという高速で 1.06×0.63平方度という広い領域を一気に観測することができ、 今まで見過ごされてきた短時間で変動する希少な天体の 発見や研究に活躍することが期待されています。

CMOSセンサー
国立天文台で長年開発を進めてきた天文観測用CMOSセンサーは
高感度であるとともに2560×10000画素を持つ大型のセンサーで、
実サイズは2cm×8cmにもなります。このように検出器としては
例外的な大面積を持つため、
広い視野を一気に観測できるという特長を持っています。
また同時に1秒間に10フレームの画像を撮ることが可能であり
(センサーの一部であれば1秒間に1000フレームの画像を取得可能)、
今までは難しかった高時間分解能観測にも力を発揮します。
このようなセンサーを多数並べたカメラを作れば、
今まで観測が難しかった短時間で変動する希少な天体の発見・研究に
大きな力を発揮できます。そこで、私たちはこのCMOSセンサーを使った
「広視野CMOSカメラ」の開発に取り組んできたのです。

CMOSカメラの設計・製作
私たちはこのCMOSセンサーを6個並べたカメラを設計・製作しました。
わずか6つのセンサーですが、これで12cm×8cmという広い焦点面を
カバーすることができるようになります。
設計・製作は主に国立天文台先端技術センターで行い、国立天文台の
研究者・技術者と法政大学の学生が力を合わせ共同開発してきました。
- CMOSセンサーを低温駆動するための真空冷却デュワー
- CMOSセンサーの高速データ読み出しに対応できる専用回路
- 高データレートに対応できる画像データ取得計算機システム

アリゾナ大学スチュワード天文台Bok望遠鏡
このカメラを搭載する望遠鏡が、アメリカ本土随一の観測拠点・ キットピーク国立天文台 に設置されたBok望遠鏡です。実は、広視野観測が可能な主焦点を持つ 望遠鏡というのは意外と数が少なくて、口径は2.3m(90インチ)と 決して大きくはないものの、主焦点を持つBok望遠鏡は私たちの目的には 適した望遠鏡なのです。アリゾナ大学との共同研究を進め、 私たちは「広視野高時間分解能観測」という新たな観測手段を 手にいれたのです。

Bok望遠鏡主焦点への取り付け
2025年夏、広視野CMOSカメラをアリゾナに輸送し、
Bok望遠鏡主焦点への取り付けを行いました。
初めての望遠鏡に取り付けるときにはすんなりと行かないことが
多いものですが、Bok望遠鏡の現地スタッフとの連携のおかげで
今回は非常にスムーズに取り付けが完了しました。
その後、夜間観測へと移行し、望遠鏡とカメラの光軸アライメントや
傾き調整、フォーカス調整などが始まりました。
しかし、観測ができた頃のアリゾナはモンスーンシーズンの最終期。
天候がイマイチで、思ったように試験観測は進みませんでした。

ファーストライト
そのような中、やっと調整が一段落し、天体画像を撮る段階へと 進むことができました。写真が最初に撮られたアンドロメダ銀河 (M31)の画像です。まだ完璧とは言えませんが、銀河の中心から外縁部まで 一様にシャープな画像が得られ、一堂胸をなでおろしました。

性能評価観測―そしてサイエンス観測へ
今後は性能評価観測を行い、多くの研究者に使ってもらえる
カメラへと仕上げていくフェーズが待っています。
十分な性能が確認出来たのちには、私たちもパルサーの観測、
スペースデブリの観測、近接ペアクエーサーの観測などを行い、
新たなサイエンスを展開していこうとしています。
そしてゆくゆくは、すばる望遠鏡など大型望遠鏡に取り付けることで、
今まで知られていない激しく変動する天体の探査と解明に
取り組んでいきたいと思っています。








